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「何か思い出されたんですか?」
前を歩いていた彼が、一本の桜を見上げ立ち止まる
少し垂れた枝に手を伸ばし、鼻先にそれを近付け匂いを嗅ぐ
「綺麗」
思わず口から出た言葉
「きっキレイですね。桜」
「カスミさんも綺麗ですよ」
「へっ?」
頭に違和感を感じ、触れて確かめると
「折ったんですか!?」
「いえいえ。折れてたんですよ」
手に収まる程の大きさ
たぶん桜
「クシュン…」
しまった
「あの、これは違いますから」
強制送還!!
「何も聞こえませんでしたよ」
何かお礼をしなくては
「やっと二人で花見ができたのに、帰るなんてできませんよ」
差し出された手をまた取り
再び歩き出した
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