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「それで近藤さん。私の質問の答えは?」 怖い人に聞くよりは、優しい人を選びます。 「二人はね。私達と。……仲が悪いんだ」 私の頭を撫でながら、言葉を選ぶように一言ずつ。 「喧嘩したんですか?」 「まぁそんなところだ。そんな時に、カスミさんが居なくなった。私は動揺してしまって、何も出来なかった。いやぁトシに怒られたなぁ。“新撰組の局長がそんなんでどうする。しっかりしろ“って。怖かったなぁ」 その時の事を思い出したのか、遠い目をする近藤さん。そんなに恐ろしかったのか──。と、想像は絶対にしません。 「話しが逸れてる」 小声で喋る土方さん。それが逆に怖かったりして。 「おぉっ。すまんすまん。で、どこまで話したかな?」 どこまでも何も。 「私が居なくなったとこまでです」 ほんの入り口ですよ。多分二歩進んだだけだと。 止まっていた近藤さんの手が動く。ゆっくりと私の頭の上から下へ。 「そうか。でだな。皆で必死に探し回ったが見つからなかった。トシは……カスミさんが直ぐ見つかるような場所に居ないと、思いたくは無かったが。無事かどうか知るために、仕方なく山崎を動かした」 「勝手に人の気持ち決めつけんな。オレは確信を持って山崎を動かした。実際あいつらと居ただろうが」 喋りながら体の向きを変え。両手を組んで枕代わりに頭の下にしき。仰向けになった。
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