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「トシはな」 視線を一度土方さんに向け、私を見た。 「トシは。カスミさんを信じたかったと思う。と言うより、信じていた」 本人が信じていないと言った後に、言われても。説得力が無いわけで。首を傾げた。 「本来なら局長である私が、カスミさんの事を一番に疑わなければならない立場なんだが。まぁ知っての通り、なぁ」 同意を求めないで下さい。縄で繋がれてる時点で充分信じてもらえてないって思いますけど。 でも。狼狽えていたって言うのを、自信満々で自分だって答えてたのを思い出すと。近藤さんの気持ちが伝わってくる。土方さんが溜め息つくのもなんとなく納得。 「私だけじゃない。皆もカスミさんを疑うことなんて出来なかった」 何時からか止まっていたのか、手が三度動き、近藤さんの手が髪にそって上から下へ流れていく。それが心地良くて、近藤さんの肩に頭を預けた。 「だがな……誰かが疑わなければならなかった。記憶が無いこと、私達を知らないと言うことを。それをトシが、一人でしたんだ。トシ一人に背負わせてしまった」 ただでさえ小さい声が、消えていくようだった。近藤さんに、土方さんに辛い思いをさせてしまったのは、させているのは私。 指を絡ませ握っている手に力が入る。
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