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「カスミさん」
妙に落ち着いた、真剣な声と表情。
「トシの顔の落書きは総司が書いたものだったな」
何故今、その確認をしなければならないのか分からないけど。間違ってはいないので頷いた。
「そうか」
そう言って、未だに私を抱き留めている土方さんを見る。
「……なんだよ」
「いや。総司が何故あんな事をしたのか、理由が分かった気がした」
近藤さんが目を細めてまじまじと見つめている。
「ちっ違いますよ近藤さん。土方さんは泣いてなんかいませんから!!」
慌てて否定をして、体勢を崩しかけた膝の上からユキが落ち掛け、体を支え。私の腰には腕が回せれ、土方さんの膝の上に座り直された。
「トシが……泣いた!?」
「だからっ」
「カスミ。お前が喋るとややこしくなる。黙ってろ」
「でも」
「いいから」
頭の上で土方さんの手が優しく二度跳ねた。
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