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「ひぃまぁだぁ」 「あ゙っ!!」 畳の上を転がっていたら障害物──文机に向かって座っていた土方さんの背にぶつかった。 「お前なぁ。人が字書いてる時ぐらい大人しくしとけ」 ぶつかった拍子に筆が動いたみたいで、丸めた紙を私の顔に向かって投げつけてきた。 その紙を広げて見たけど、何って書いてあるかさっぱり分からない。 「はぁい」 土方さんが文机に向かって腕を動かしているのを見てから、離れるように転がって来た道を、また転がって戻る。 「おっおまっちょっまっ」 ──はい、忘れてました。 丁度うつ伏せ状態になった時。聞こえた声に動きを止めた。恐る恐る顔を向けると──はい、見事に仰向けで倒れてました。土方さんが。しかももの凄い形相で睨んでる。 「えへっ」 ってね。可愛く言っても、彼には通じないわけで。眉間に皺は増えていき。 「ごめんなさい。ごめんなさい」 正座して平謝りです。土方さんから溜め息が零れて皺が消えていった。私からは安堵の溜め息が零れた。 「私。いつになったら、縄を解いてもらえるんですか?」 腰に回された縄の結び目から伸びた縄の先は、土方さんの腰に回されていて。つまり、転がり過ぎた私が気を抜いていた土方さんを引っ張り倒してしまったようで。 「オレが知るわけねぇだろ。傷が治れば仕事に戻れるんだ。それまでじゃねぇか」 体を起こして、再び文机に向かう背中を見て。付かず離れず、程良い距離をとり大人しく座っていることにした。
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