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傷と言えば。とうの前に治っていて。ただ、源さんと近藤さんが“傷口が開く“ とか、言いながら。未だに首にはグルグルと。
「土方さん。私ずっと考えてたんですけど」
「馬鹿な頭で何を考えられんだ」
二人を繋ぐ縄を少し強めに引っ張ってみた。
「……」
「どうして山崎さんの正体を明かしたんですか?」
鬼になる隙を与えないように、早口で。
筆を置いた土方さんがこちらに向き直る。
「彼の事を知られないように、私をこの部屋に置いていたのに、土方さんは自分からお化けの正体は山崎さんだって言いました。何故ですか?」
土方さんは私が話しをする時、目を合わせる。表の言葉に裏がないか探るように。
「お前を見張る理由が無くなったから」
「でも。私は高杉さん達の仲間なんですよね?」
「カスミはどう思う?自分が奴らの仲間か仲間じゃねぇか。どっちだ」
どっちと言われても。私に分かるはずがない。分からないから、山崎さんの存在を明かしたことも、高杉さん達にさらわれたことも。──私がここに居る理由も。
いくら考えても辿り着く答えは同じ。
分からない。
やっぱり私は馬鹿なのかな。
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