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「キレイ」
人もまばらで沈み始める日に照らされたそこは
昼間と違う景色を見せている
ちょうど真ん中
大きな桜の木の下には遠くからでも分かる威圧感
目的地を見つけた
「斉藤さん」
閉じていた目が一度私を見てまた閉じた
手に持つ物を彼の横に置き
斉藤さんがすがって座る木に手を当て見上げる
花と花
枝と枝の間から弱々しい日が差し込む
時折心地良い風が吹き抜け
花弁が散り泳いでいく
知ってる
この場所この桜の木々達を
目を閉じもっともっと思い出そうと
どれぐらいそうしていたのか
背中に何かを感じ目を開けた時
日はいなくなっていた
しまった!!源さんに怒られる!!
「…風邪ひくぞ」
背中に感じたのは斉藤さんがかけてくれた
彼の羽織り
「大丈夫です」
その羽織りを返そうと手を伸ばす
「……」
のを止めました
「…そんなに身構えるな」
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