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「思い出したことを話せ」 朝食後。言われたとおり部屋に行きました 部屋に入るなり、土方さんが私に言った 「何のことですか?」 素知らぬ顔して障子の前に座った いざと言う時の為に 「藤堂と斉藤から話しは聞いてる。しつこく花見に行きたがってたのは、その為だろ」 「そうですけど…結局は何も」 「あの時のお前は挙動不審だった」 全てお見通しと言わんばかりに私を見る 「私。皆さんと花見したことがあるんです」 この人に嘘は通じない 「この前しただろ」 「いえ。そうではなくて…なんと言うか、もっと前にも」 土方さんの眉間に皺が増えていく 「オレが何か言ったとか、言ってたな」 「声が聞こえたんです。沖田さんと近藤さんの声も」 「何て?」 「土方さんは、近藤さんに馴れ馴れしくするなって」 「確かに、あの時のお前は馴れ馴れしかったな。他は?」 「沖田さんは、飲むのやめた方がいいですよって」 「そう言ってたじゃねぇか。近藤さんは?」 「…トシ、ヤキモチかって」 「カスミ…それは幻聴だ」
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