みえすいた勧善懲悪

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みえすいた勧善懲悪

そんなものを描きたくて夢見てる 舞台に立てたらいい 動き出す甲斐性はなくてぼんやり夢の中 ソファに座って軽やかに弾ける音楽をききながら言葉を繋いで繋いで頭の中は楽園 夢の中の自分は笑って、燻ることなど知らない顔 ほんとの足は組まれたまま何処にも立てない きれいな声を出せたらいい 願望はある、けど 道筋はない 動く人がいるのは知ってる 違いがなにかを探るなかれ 恥ずかしさで前を向けない 口ごもる身体を持て余して 沈黙と停滞を身につける 流れる事すら困難 口にする事すら、馬鹿らしく思われる事 舞台に 自分の世界を 歌を、 音を 腕をふるう 笑みを 眼差しを みつめてはくれないか ありふれた世界を リアリティのない勧善懲悪を 日常を 笑いを かなしみを さみしさを あたたかな世界を 人にまみれた世間を 私のみる夢を笑ってくれないか 私と同じように笑ってくれないか 眼差しで 立ち姿で きみを泣かせることは出来ないだろうか この身は、頭は、心は、 なにかを舞台に映せはしないか 音に出来ぬか 張り詰めた優しさを君の心に染み込ませられぬか ありふれたちいさな人間のあたりまえの感情、 それだけの世界をきみの前で 私は作り上げる事は出来ぬ 愚かな現実 すべと結果は夢に添わぬと、思ってる 組んだ足が歩くのは毎日の道
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