第一章  闇に潜む「存在」

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 時刻は午後22時、俺…天宮怜司は、家から500メートル離れたコンビニに買出しに出かけていた。 「こんな時間に気づくのが、悔やまれるとこだな」  俺は食糧でも日用品でも一括して買うクセがある。いちいち買いに行く手間も省けるし、店に行かない分無駄遣いも減る。欠点と言えば、買ったものを一度に使用するので、 消費してなくなるのもまたほぼ同じになるのが多いということだ。そのため、買いに行くタイミングというのは軽視できないものだったのだが・・・ある理不尽に振り回された 一日だったので気づくことができなかったのだ。 「いてもいなくても迷惑かけてくる奴だ。」  何度こう思ったか、もはやわかったものではない。俺の都合は全面的に無視し、自分の赴くままに連れまわす。これを理不尽と言わずして何と言う。あいつは一度 自分を見つめ直すべきだと──── 「──え、──構です」 「ん?」  今、何か聞こえたような…… 「──から、──丈夫です」  たしかに聞こえた。こっち側からだった気がするが…… 「私、急いでいるんです。通してください」 「だから俺たちが見送ってやるよ」 「そうそう、夜の道は危険だからね」  一人の女に男が二人、会話から察するにからまれているんだろうが・・・なぜこの時間帯に女が一人外へ? 「すみません、失礼します」  女が無理矢理隙間を割って逃げようとする。 「おい、ちょっとまてよ!」 男が女の方をつかみ、引き寄せようとした。 (はぁ、いい加減傍観決め込んでいい状況じゃなくなってきたな……   溜め息も出る。好奇心に任せて覗き見した結果がこれだ。あの声を無視して素通りすればよかった思うと後悔がおしよせてくる。が、見た以上放置するのも後味が悪い。 だからこそ気が重くなるのだが・・・しかたない。 「おい!お前───」
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