2人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
REIJISIDE
「さて、これからどうするか……」
教室に入ってきた俺は、まず何をすべきかをまとめ、思考を巡らせた。と、そこに……
「ん?何をどうするって?」
独り言を聞き拾ったのであろう、一人の女子が俺に話しかけてきた。
「たった今、お前の問いかけのおかげで思考がキャンセルされたところだ。死んで詫びろ」
「ひどっ!!そんな対応されるようなこと、私した?!」
朝からテンションが高い奴だ。うざい。
「何か一言でまとめられた気がするけど・・・まあいいや、それで?一体何を考え………………ん?」
「何だ?」
「ひょっとしてあんた……何か見つけたの?」
「なぜそう思う?」
「目がちがうもん。何年あんたと一緒にいると思ってんの?それくらい分かるよ。」
恥ずかしげもなくそういい切った。彼女、篠崎音羽は俺を取り巻く最大級理不尽である。放課後や休日などは主にこいつに時間をとられている。
その上、朝食をたかりにきたり、テスト期間中は泣きついてきたり、あげく、こいつが起こした面倒事はすべて俺が尼拭いするなど、ここまで一方的な持たれつの
関係も珍しいぐらいだ。だが、悲しいかな、俺と言う存在を一番理解しているのもまた、この女なのだ。さっきの問い掛けの
「何か見つけたの?」
というのは、
「成し遂げたい目的でも見つけたの?」
という意味だ。腐れ縁故かこいつは俺の表情や感情の機微の変化にもよく気づく。そのため、
「今度は何やろうとしてんの?」
こういったことにはよく首をつっこんでくる、俺と関わりを持つ本当に数少ないうちの一人だ。
「というか、あんたが手に持ってるそれ何?」
いつの間にか音羽の視線は俺の左手に注がれていた。
「学生証だ。俺の物ではないがな」
「え……じゃあそれ誰の……?」
「ん……」
俺は手に持っていた学生証を突き出した。そこに記されていた名前は
「なかつがわ……鼎←これ何て読むの?」
「実に期待通りの返答だな。それは『かなえ』と読む」
「へ~珍しい名前だね。というか中津川さんってうちのクラスの?」
「そうだ」
「んん?じゃあ尚更どうしたの、それ?あの中津川さんの学生証持ってるなんて……はっ!まさか…………」
「とりあえず、お前の想像が正解に辿り着くことはないからな、先に言わせてもらおうとすれば、道端で拾ったんだ」
最初のコメントを投稿しよう!