第二章 呪いを促す「存在」

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REIJISIDE   「さて、これからどうするか……」  教室に入ってきた俺は、まず何をすべきかをまとめ、思考を巡らせた。と、そこに…… 「ん?何をどうするって?」  独り言を聞き拾ったのであろう、一人の女子が俺に話しかけてきた。  「たった今、お前の問いかけのおかげで思考がキャンセルされたところだ。死んで詫びろ」 「ひどっ!!そんな対応されるようなこと、私した?!」  朝からテンションが高い奴だ。うざい。 「何か一言でまとめられた気がするけど・・・まあいいや、それで?一体何を考え………………ん?」 「何だ?」 「ひょっとしてあんた……何か見つけたの?」 「なぜそう思う?」 「目がちがうもん。何年あんたと一緒にいると思ってんの?それくらい分かるよ。」  恥ずかしげもなくそういい切った。彼女、篠崎音羽は俺を取り巻く最大級理不尽である。放課後や休日などは主にこいつに時間をとられている。 その上、朝食をたかりにきたり、テスト期間中は泣きついてきたり、あげく、こいつが起こした面倒事はすべて俺が尼拭いするなど、ここまで一方的な持たれつの 関係も珍しいぐらいだ。だが、悲しいかな、俺と言う存在を一番理解しているのもまた、この女なのだ。さっきの問い掛けの 「何か見つけたの?」 というのは、 「成し遂げたい目的でも見つけたの?」 という意味だ。腐れ縁故かこいつは俺の表情や感情の機微の変化にもよく気づく。そのため、 「今度は何やろうとしてんの?」   こういったことにはよく首をつっこんでくる、俺と関わりを持つ本当に数少ないうちの一人だ。 「というか、あんたが手に持ってるそれ何?」  いつの間にか音羽の視線は俺の左手に注がれていた。 「学生証だ。俺の物ではないがな」 「え……じゃあそれ誰の……?」 「ん……」  俺は手に持っていた学生証を突き出した。そこに記されていた名前は 「なかつがわ……鼎←これ何て読むの?」 「実に期待通りの返答だな。それは『かなえ』と読む」 「へ~珍しい名前だね。というか中津川さんってうちのクラスの?」 「そうだ」 「んん?じゃあ尚更どうしたの、それ?あの中津川さんの学生証持ってるなんて……はっ!まさか…………」 「とりあえず、お前の想像が正解に辿り着くことはないからな、先に言わせてもらおうとすれば、道端で拾ったんだ」
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