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「──じ、怜司!」
「ん?」
気づけば目の前に音羽が立っていた。ということは……
「話はどうなった?」
「ちょっと苦労したけどね……何とか話つけてきたよ」
「っ──、そうか、感謝する」
よし!最初の懸念点は解決した。後は話す内容だ。会話の切り出し方や繋ぎ方など、アドリブで話せるほど相手は扱いやすくないだろう。
ある程度はまとめておかなくては。
「苦労したんだから、それなりの成果はあげなさいよ」
「あぁ」
「それじゃ、また後で」
音羽は自分の席に向かっていった。今日の授業はいつもより長く感じられた。
そして放課後
「それじゃ、私は帰るから頑張って口説きなさいよ、明日聞き出すからね」
そう言って音羽は教室を去っていった。
(何か勘違いしてる節が見受けられたが…まあいい)
俺は俺の目的を果たそう。そう思い、教室を見渡した。だが、すでに中津川の姿はなかった。
(もう先に向かったのか?)
そう考えて俺は足早と教室を出ていくことにした。
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