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秋月は親父にまったく笑みを見せず、真顔で話始めた。
「恐らく執行猶予つきの判決になるでしょう。保護観察処分だけですんで良かったですね。実刑で刑務所に入るよりは全然マシですから。息子さんは更正が効くと判断されて社会に戻してもらえるわけですから、社会貢献できるように頑張ってほしいですね。」
秋月が少し微笑んで、俺のほうを見た。
でも笑っているのは口だけで目はきついまま。
秋月は怒っている。
やっぱり女だからか。
女たちを売買したいとはまったく思わなかったけど、ほかの奴らは楽しそうだった。
秋月たちが突入してきた時、秋月は鬼のような顔をして手には拳銃を持っていた。
ほかのどの刑事よりも怖かった。
こんなやつが俺の担当なんて…
「こら!誠(まこと)。秋月さんに返事しないか。」
親父の言葉に腹がたつ。
今まで俺の世話なんて何もしてこなかったくせに。
お母さんが死んで、やっと家へ帰ってきたと思ったらマンションと金を置いてまた出ていった。
「父親顔するんじゃねぇよ。」
俺が吐き捨てるように言うと、秋月の顔が強ばった。
「…須川くん。お父さんにそんな口きいちゃダメよ。君はこれからお父さんと一緒に家へ…」
「はぁ!?何だよ、それ!!」
秋月がびっくりした表情を浮かべる。
「俺、帰らないからな。だれがあんな家に!」
「こら!誠!!」
親父が声を張り上げる。
秋月は気づかれないようにため息をついている。
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