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表の荒涼とした月面とは違う、華やかな都がある裏の月。
その栄華の街道を駆ける影が一つ。
?「ハァ、ハァ……」
彼女の名はレイセン。月の現姫である綿月姉妹に飼われ、月の兎、「玉兎」(ぎょくと)の中でもエリートの軍人として姉妹に仕えていた身でもある。
そんな彼女が何故脱走を試みて居るのか?
鈴(この月で、戦争が起こるかも知れないなんて冗談じゃないわ!)
そう、彼女は軍人には向いていなかったのだ。
彼女は自らを身勝手で臆病者であると評している。
この度、裏の月に戦乱の兆しがあった。
その噂を聞いた彼女は、月からの脱走を決意した。
鈴(私は依姫様の直属にして、既に指揮官クラスにまでなった。指揮官を失った部隊がどうなるかは理解している……それでも私は、自分が可愛いんだ。)
私は、月の終点へとたどり着いた。
身につけた羽衣を整え、眼下の青い星に向けて、漆黒の空へと、飛び立った。
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