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こんなときに誰が歌っているのかと勢いよく顔をあげた男の顔に赤い何かがふりかかる。
そして男の瞳に映るのは紅竜だった"もの"、それと黒いローブを纏う人の姿。
その背中にはギルド背徳の天使のギルドマークが描かれている。
「お前は…まさか!?黒き蝶!?」
黒き蝶とはギルド内で闇属性に最も長けた帝の二つ名である。
その名前の由来は…
「舞っているようだ…。」
血という花弁の嵐の中で自分の身の丈ほどある黒い鉄の扇子を使って舞うように敵を切り刻んでいくことから来ている。
「フィニッシュ!!」
一人では到底倒せるはずのない数を黒き蝶は一人で魔法も使わずに倒してしまった。
「大丈夫??」
男が固まって動かないのでどこか怪我をしているのかと心配し男に手を伸ばす。
だがその手ははたき落とされてしまう。助けられた事に対して礼を言うべき男の手によって。
「ば、化け物!!!」
男の瞳には黒き蝶は紅竜の群れよりも恐ろしい化け物として映ったようだ。
「…それだけ元気があれば一人で帰れるね?ばいばーい!」
男はしまった殺される!と考えるが男の思考とは裏腹に何事もなかったかのように黒き蝶は魔方陣につつまれ消えてしまった。
残されたのは思考の停止した男と切り刻まれた紅竜の亡骸のみ。
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