背徳の天使

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あと一枚! あと一枚で僕の城の完成だ! 数時間かけて作った数メートルにも及ぶトランプの城に、最後の二枚をたてようとしている。 緊張でプルプルと震える手をどうにか抑えてなんとかたてる。 しっかりたつことを確認し、数秒してからゆっくり、ゆっくりとトランプから手を離していく。 《黒き蝶!至急紅き森に向かえ!》 「わわっ!!」 突然頭にマスターの声が響き僕は慌てて梯子の上から落ちてしまう。 それと同時に僕のトランプのお城は落城してしまった。 「あぁ…僕のお城があぁー…」 ただのトランプの山となった城の残骸を半泣きになりながら未練がましく見つめる。 《聞いているのか!》 余程の緊急事態らしくマスターの声に焦りの色が滲んでいる。 《うぃー…りょーかいでーす》
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