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「ひとつ……教えて欲しいことがあるの」
「なんだい?」
「貴方の名前は、ロジャー・ラビット?」
「…………」
一番最初に会った時、彼は間違い無く『ロジャー』と自分に名乗った。
もしそれが嘘なら本当の名前を知りたい。もしそれが本当なら先程否定した理由が知りたい。
皐月は彼の全てを知りたかった。
「ああ。間違い無く、ボクの名前はロジャー・ラビットさ」
「なら……「ただし」
質問を続けようとする皐月にロジャーが声を被せてきた。
「ボクは『ロジャー・ラビット』ではない」
「は……?」
皐月は失ってしまった。
ロジャーへの質問も、その先の言葉も、何もかも。
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