122人が本棚に入れています
本棚に追加
初日はあれだけ真新しかった通学路も、二日目になればその輝きの大半を失う。
コンニビも、ゲームセンターも、小洒落た雑貨店も、皐月の心を揺さぶるにはまるで程遠い。
「あ、やっぱり電車動いてないね」
「……そうね」
取って付けたようなイベント。だからどうしたと言うのだろうか。確かに珍しい経験ではあるが、財布を覗けば家までバスで帰れるだけの金額は十分にある。
「バス停、確かあっちよね」
「え?あ、うん」
さっさと早歩きで去ってしまう皐月に一歩遅れて由実が続く。
そしてバス停に着くと、皐月は家から徒歩30分くらいの所にある映画館行きのバスを発見した。
ここから皐月の家までは二駅。多少歩くがおそらくこのバスがベストだろう。
最初のコメントを投稿しよう!