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「それじゃあ、行きますか!」
ロジャーはアクセルペダルを思い切り踏み込んだ。ギアチェンジレバーもクラッチペダルも無視。基本的にMT仕様のバスは普通それだと走らないが、それはつまらない世界の話。バスは猫のように車体を折り曲げ、一気にスタートした。
「ぎゃっ!ふ……!」
皐月は訳の分からない声を上げながら後部座席まで吹き飛ばされた。三回転ほどした後に頭部を強打したが、痛くも痒くもない。
「驚いたなあ。彼女、石頭かと思ったらそうでもないみたいだぞ」
車体が揺れる度に楽しそうに転げ回っている皐月を見てロジャーは感心した。
「なに、一体何が起こってるの……!?」
唯一の常識人である由実だけが頭を抱えて震えていた。
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