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その後、バスは街中をひたすらに駆け回った。
飛んで、跳ねて、スピンして、ウィリーや片輪で走ったりもした。それを見た人誰もが腰を抜かして肝を潰した。しかし、それで事故が起きることも無ければ誰も怪我をすることもない。それがトゥーンの素晴らしさだ。
車内で永遠に終わらないジェットコースターを楽しむ皐月もそれを理解していた。トゥーンで怪我をするのはトゥーンだけ。それもフレームさえ切り替わればあっという間に治るだろう。
「ひっ……ひっ……」
一方の由実は顔を引き吊らせながら恐怖していた。バスが常識の範疇を越えた暴走を始め、となりで友人が狂ったように笑いながら転げ回れば世も末だと思うだろう。
そして、そんな友人を見て皐月はとんでもないことを思っていた。
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