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急に明るくなった。
としあきが帰ってきたんだろうか?
体をのそりと起こす。
あれ、そもそもなんで僕は寝てるんだ?
目をあけた瞬間、気づいた。
右瞼が開きにくい。
こすった手の甲に赤黒い血がこびりついた。
そうだ、としあきの部屋で変なもんに襲われて…
ざざぁ、と強い風が吹いた。
僕の周りの背の低い草がさらさらと揺れる。
見渡すかぎりの草原で、太陽が眩しくて、空は青くて…すごく気持ちいい。
は?
外?いや、どこだここ。
僕の田舎なんか比じゃない。日本じゃないみたいにだだっ広い。
「嘘だろ…」
ぶつけた衝撃で頭がどうにかなったのか、僕は…
切れた瞼や腕の小さな切り傷は痛い。
だから、今僕が見ているのは現実。
受け入れようはないけれど。
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