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背の高いお姉さんは優雅に唇の下に指を当てて、考える姿勢をとった。 「この草原は、アースガルズ平原という場所ですわ」 アースガルズ平原。 なんだそりゃ…外国なんだろうか? 全く聞いたことのない地名に僕がまた意識を飛ばしそうになっていると、お姉さんは続けた。 「もし、貴方…失礼ではございますが、お名前を伺っても宜しいかしら?」 「え、はい!透です」 なぜこのタイミングで名前なんだろう。 反射的に答えた僕も僕だが。 「トオルさん…と仰るのね」 復唱するとお姉さんはふふっと笑った。 綺麗だ。思わずキュンとするくらい。 「あら、失礼いたしました…私はスカジと申しますの。お見知りおき頂けると嬉しいですわ」 綺麗なお姉さんは微笑んだまま名乗った。 やっぱり聞いたことない響きだな… 「トオルさん、先ほども申し上げましたがここは少々危険ですわ。安全な場所まで移動してお話しましょう」 言うとお姉さんは西側の木の柵が見える場所を示した。
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