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うなだれた僕に、スカジさんは優しく声をかけてくれた。
「トオルさん…そんなにお気を落とすことはありませんわ」
言いながら、スカジさんは羽のような飾りがついた瓶を取り出した。
どこからか取り出した布に、僕が見ている間に瓶の中の液体を少しふりかけると、差し出した。
「これでお顔を拭いてくださいませ。少量ですが効果はあるはずですわ」
「ありがとうございます…」
差し出された布をうけとる。
消毒液なのだろうか?
不思議な清涼感を感じさせるにおいがする。
おそるおそる顔を拭き取る僕に、スカジさんはまた話しかけた。
「この柵を越えたすぐ向こうに、戦士の集う村がありますの。トオルさんと同じような境遇の方もいらっしゃるかと思いますわ。行ってみてはいかがかしら?」
「村、ですか…」
親切にありがとう、とお礼を言おうとして僕は固まった。
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