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一月八日。新学期が始まってすぐのこと、ある男子生徒は携帯電話から八代高校の裏サイトにアクセスしていた。
そして意気揚々と何かを書き込み始めた。
“俺は決めた、彼女に告白する。明後日の放課後に呼び出すことにしたよ。
みんなはもしも自分が好きな人に告白をするとしたらどこで告白する?
俺は一発で決めたいから場所にはこだわっているんだ。出来れば学校の中がいいな。
おすすめがあったら教えてくれ!(2年 Y・K)”
その一ヶ月後。
暗い夜道を電球の切れかけた街灯が照らす。
寒くなって日の暮れも早くなったせいか、午後七時にもなると道に人の通りはなかった。
男は荒い息使いのまま自転車をこぎ続けた。どこへ向かうでもなくただ走り続けた。
やがて閑静な住宅街の一軒の家の前で立ち止まった。表札には『小嶋』と書かれている。
男は息を切らしたままインターホンを押した。
「はい、どちらさまですか?」
「あやめ…俺だよ…。」
男はそのまま家に入っていった。
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