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兄は、薄く削いだ肉に湿気で固まった塩を砕いてふりかけ、妹に渡す。
それから、自分もひと切れ切り取って口に運ぶ。
数日ぶりの食事だった。
二人が知っている食事ーーそれは、滅多に料理をしない母親が電子レンジで温めるかお湯を入れるかして作るレトルトだけだった。
包丁の使い方は、さっき母親が食材を切って見せてくれた。
「ヘンゼルは、魔女に食べられないように太らないようにしていました。」
じっと機会をうかがって。
お菓子の家は幻だけれど。
お菓子よりももっとーーー
『おかげで、仲の良い兄妹は助かり、同時に何日分もの食料を手に入れたのでした。』
終.
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