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「すいませんユウさん」
「あ?」
切った電話を睨み付けていると、秋保が唐突に言った。
なんだすいませんて。
「いや、あの…嫌だったら、帰るんで…」
「………」
いつのまにか正座している秋保は、相変わらず表情はそのまま。
でも、声のトーンが低くて
しょんぼり、してるような…
いや今俺が怒ったのは秋保じゃなくて海斗に対してであって
だから秋保が悪いわけじゃなくて
ってかそもそもよく知ってるやつなのに嫌なわけはなくて
そんな言い訳を心の中でしながら、ふぅ…と息をつく。
「…いいよ別にっ」
「え?」
「いていいからっ」
こんなやつを追い出せるほど、俺は酷いやつじゃない。
「ありがとうございます」
俺の言葉を聞いて少し笑った秋保。
「あ、家事は全部するんで任せてください」
そう言いながら晩御飯の準備を再開する。
家事が苦手な俺にとってありがたいことだ。
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