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「もうこんな時間か…」 小テストを作り終えたあとも、学年主任や他の現代文担当者と相談をしていると、気付けばもう8時。 いつもより一時間ほど長くいたようだ。 「お疲れ様です」 簡単に荷物をまとめて、まだ仕事をしている教師たちに声をかける。 「お疲れ様-」と返事を背中で聞いて、職員室を後にする。 「…寒っ」 春と言えども、夜は冷える。 冷たい風を頬に受けながら、車に乗り込む。 自宅まで車で10分程度。 近い職場で良かったと、こういう日は本当にありがたい。 15階建てマンションの駐車場に車を停める。 車を降りて、エレベーターに乗り8階を押す。 幸い駐車場に止まっていたエレベーターは、1分も経たないうちに8階へとたどり着いた。 開いたドアから直進して、803の部屋へと行く。 いつもと同じ、帰路。 「…ただいま」 誰もいないと分かっていながらそう言ってしまうのも、いつものこと。 なのに 「おかえりなさい」 今日は返事が、あった。 .
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