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「ここ、か…」
1枚の紙切れを手に、廊下にたたずむ。
壁にかかる文字と紙の文字を見比べて、頷き深く息を吸う。
……ここが、捜査部……
胸がドキドキし、笑みがこぼれる。
もう一度深く息を吸い吐き出したあとに一室に向かい歩き出した。
「お、おはようございます!!」
狭い部屋に似つかわしくない大声が響いた。
お辞儀をし、頭をあげたが室内はシンとしている。
あれ、と辺りを見渡したが、人気はない。
……外出中?
緊張して損したな、なんて考えながら一応部屋の中をあるいてみる。
人はやはり見当たらないな…。
「ん……おきゃくさん?」
「?!」
がんっと大きな音がしてそれか「いたぁ」と小さな声が聞こえた。
誰かいたのかと周りを見渡すもやはり人影はない。
一体どこから声が…。
「こっちこっち。ソファーの上…いや下」
呼ばれ、近くのソファーに駆け寄る。
なるほど、磨りガラスがあったから見えなかったのか。
もしかして、仮眠をとってたのかもしれない。
悪いことをしてしまったと緊張した面持ちでソファーの下、正式には前をみた。
「…………へ?」
「今日配属された子でしょ?生憎みんな出てるの」
思わずポカンとしてソファーの前にいる人を見つめてしまう。
夢かと目を擦ったが目の前の光景は変わらない。
俺が返事をしないのを不審に思ったのか、目の前の人は首を傾げて手をひらひらとふった。
「おーい、新人くん?生きてる?」
「あ、はい…」
「反応鈍いよ。刑事にとって致命的!」
軽く服装を整えなが立ち上がる。
立ち上がれば、俺は尚更驚きを隠せなかった。
目の前の光景が。
「あの、刑事さん?」
「えぇ、そうだけど…」
「高校生じゃなくて?」
俺の目の前にいるのは…。
女子高生の制服で、俺の顔より下に顔がある少女。
とても刑事には見えないし、普通に高校生に見える。
少女はポカンと俺を見つめてからあははと大声で笑い始めた。
「高校生なんて、おもしろいこというね」
「え、だって…」
ふぅと息をはきだし少女は笑うのをやめた。
それから胸のポケットに手をいれ小さな手帳を取り出した。
「山口佳奈。こう見えても27よ」
目の前に出された手帳。
それは紛れもなく刑事であることを示していた。
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