「初事件」

2/4
前へ
/6ページ
次へ
「あ、え?27…?」 「うん、27」 にっこりと笑い、少女…いや佳奈さんは手帳をしまった。 本当に27…? 疑いたくなるがあれは警察手帳で。 年齢は書いてないが、警察手帳を持っているということは警察で…。 頭の中が混乱してきた。 「よく間違えられるの」 「そう、なんですか…」 「新人くんの名前と年齢は?」 「あ、矢谷太陽、24です」 いった瞬間、ぱぁっと明るくなり笑顔になる。 「わー!初めての年下だ」 まだ幼さの残る笑顔。 これだけをみると、やはり高校生…いや、それ以下に見える。 可愛らしい無邪気な笑顔。 「ね、太陽って呼んでいい?」 「別に構いませんが…」 「よろしくね太陽。初めての後輩くん」 きゅっと両手が包まれた。 佳奈さんはえへへっと笑いその手を上下に振ってから離した。 “初めての後輩” よっぽど嬉しいのだろうか。 「佳奈…先輩?」 小さく呟くと、佳奈さんは尚更嬉しそうにして「何?」と言ってきた。 単純、というか少しかわいい…。 「太陽?人の名前呼んどいて無視?」 はっと気が付くと目の前には少し頬を膨らまして拗ねてる佳奈さん。いや、佳奈先輩。 「す、すみません!」 「もう。私先輩なんだから無視しちゃ駄目だよ」 何気なく先輩を強調して、やっぱり嬉しそうに笑っている。 そんなに先輩が嬉しいのか。 「あ、他の人達そろそろ戻ってくるかも」 冷静になってふと言う。 そして「お湯沸かさなきゃ」と呟き急騰室へ入っていった。 えー…俺は放置ですか。 仕方ないので近くにあった椅子に座り、じっとしておくことにした。 あまり動き回っても疲れるだけだし。 椅子に座ったままきょろきょろと回りを見渡し部屋を観察する。 部屋はさほど大きくない。 机の数もあまりないな。 …うまく、馴染めたらいいな。 ふぅ、と短く浅いため息を吐き俺は体を伸ばした。 …のだが。 「誰だお前」 チャキリと嫌な音が後ろからして、硬く冷たいものが感じられた。 思わず伸びをしたまま固まり、動けなくなる。 ま、まさか。 この音といいこの感じ。 「名乗らねぇと撃つぞ」 ヒヤリと冷たい汗が首もとを伝った。 、
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加