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麻倉さんの手が退いた後、きょろきょろと周りを見渡すが誰もいない。
変だな…。
さっき、確かに二人って言ってたのに。
「もう、晃平くん!ちゃんと挨拶しなよ!!」
「そ、そんなこと言われても!あ、痛い佳奈さん引っ張らないで!」
ばたばたと麻倉さんの後ろの扉で音がする。
麻倉さんはやれやれというように苦笑いを浮かべていた。
ちらちらと二人の、一は佳奈先輩だろう人影が見えている。
どうやらそこに晃平さんは入いるらしい。
ここは、俺が行くべきか…。
麻倉さんの横を通り扉から廊下へ出た。
「あの、初めまして。今日から配属されたー」
「うぎゃぁぁ!」
「こら!わざわざ太陽から来てくれたんだから逃げないの!」
廊下に響く叫び声。
そして目の前にいるじたばた暴れる人。
佳奈先輩が服を掴んでいるため逃げることは出来ないようだ。
「離して佳奈さん!早く!」
「だーめ!離したら晃平くん逃げちゃうでしょ」
「いやだあああああ」
「あ、あの─」
ぎゃああああと再び絶叫が廊下に響く。
俺…なにかした?なんでこんなに怖がられてるの?
「仕方ないなぁ…夢都さん!手伝ってださい」
「はいはい」
部屋から麻倉さんが出て来て、あっさりと晃平さんは部屋の中へ引きずられていく。
抵抗して暴れていたか麻倉さんは手を離すことなく晃平さんを部屋へ入れた。
すげぇ、細身なのに力あるんだ…。
「さ、太陽も入って!」
「は、はい」
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