序章

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 薄暗い石壁に囲まれたこの部屋は、ひんやりとして澄んだ空気で満たされている。  僕は、この部屋が好きだ。  春夏秋冬、常に快適なこの部屋は、僕の唯一の居場所だし、第一、いつもケイオスが側にいてくれている。  ケイオスは僕の友達だ。  歌ったり、凄く面白いお話を聞かせてくれたり、ゲームの相手をしてくれる。  でも、ちょっと言葉遣いが堅苦しいかな。もっと気軽に話してくれると満点なのに。  食事もお風呂も洗濯も、いつも誰かが用意してくれる。  僕はいつもいつでもここにいて、何もしないで生きてきた。  もう覚えていないほど昔からそうだったから、その事になんの疑問もなかったんだ。  勇者が、ここに来るまでは――
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