41人が本棚に入れています
本棚に追加
そして吸血鬼であり吸血姫(ブラッドドレイン)、魔女でありオカルト退治専門会社の社長である。
今日マキナがこの場所に赴いたのは、べつに心霊スポット巡りではない。オカルト退治を生業とする彼女にとって、幽霊などそこら辺に群れる不良と大した差ではない。
なら何故。
その答えは彼女の手の中にある。
マキナの手には、一通の手紙が握り潰されていた。
それにはこの場と時刻、そして簡潔に『ここに来い』という文が書かれているだけで、相手は不明。今朝学園に来てみれば靴箱の中に入っていたのだ。
少し考えればただの悪戯。それか悪意ある罠でしかない。
しかしマキナは来た。考え無しというわけではない。単に悪戯でも罠でもないと察しただけだ。
(学園に悪戯で私を吸血姫なんて呼ぶ奴はいないからな)
マキナを吸血姫と呼ぶという事はつまり、呼び出し人は一般人ではなく非日常の世界に身を染める者であり、彼女がどういう人間か知っている者という事だ。
そして、ここまで来るのに罠らしい罠はない。山に入った時点で人目がないにも拘わらずだ。
故にここに着いた時には疑念は取り捨てていた。
最初のコメントを投稿しよう!