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大袈裟にため息を吐く七夜だが、対してマキナの視線は実に淡白だ。
『知っていた』と例えるまでこの状況を予想していたのであれば、ここまでの会談は酷く無意味な物だ。しかしただ無意味な会談をこの男が仕組むとは考えにくいと、この数分でマキナは察した。この男は馬鹿ではない。むしろ頭がキレる方だ。
なら、この先は本題となるに違いない。
「胸糞悪い前置きだな。無駄に長くて苛々する。このままその戯言を続けるなら、私は帰らせてもらうぞ」
「女の子が糞なんて言ってはいけないと思うけど……まあしかし、本当に察しが良いね君は。……よし、ではそろそろ本題に入ろうか」
霧咲、と男はマキナの隣にいる男を呼ぶ。
はい、と短く応えた霧咲は、いつの間にか手にしていた羊皮紙をマキナに渡した。
「これは……?」
「契約書だよ」
七夜がマキナの疑問に答える。
「《銀の弾丸》が《アウグスティヌス》に提案する案は実にシンプルだ。決闘、賭け試合、殺し合い、まあどれでも良いけど。とにかくそういった物だ。負けた方がこの町を去る。どうだい?簡単かつ単純だろう?」
マキナは羊皮紙を見つめる。英語で書かれているが短期間とはいえ英国にいた彼女には大した問題ではない。
そして確かに、羊皮紙には今七夜が言ったような事が書いてあった。
例えば負けた方が町から出ていくとか。
例えば決闘の際に敵の生死は問わないとか――――
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