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弟に手を出しては、母に嫌われる。それだけは避けたかった。小十郎は悪戯の照準を父に向け、父五郎左ヱ門が家老奥平良道の病気を治した折りに、御礼として頂いた花鳥風月の掛け軸に落書きして見たり、五郎左所用の墨汁を、庭の池に落として、泳いでいた鯉を死なせたりと、大変な物であった。役目を終え屋敷に戻った五郎左は、「なんじゃこれはァ、御家老様より頂いた、大事な掛け軸がァ、ン、なんだこの黒いしみは、」五郎左は黒いしみを目で追って行った。「わああーなんじゃこれはァ、池が真っ黒じゃ、この悪戯は、またあいつか」
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