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朝、小鳥の囀りが木霊する時間は疾うに過ぎ去った
金属製のハイベットの冗談ではない硬さを敷布団越しに背中に感じながら暑苦しい布団どけて起き上がった
部屋には日の光が入り時計は朝の七時半をさす
少し急がないと学校に間に合わないかもしれない
ハイベットから降りて勉強机の蛍光灯をつけてから椅子に腰掛け少しぼーっとしていた
二、三分でだいぶ目が覚めたのでハイベットの下に掛けてある学ランを手に取った
もう三年目な為か少し草臥れズボンの裾は地面に擦るせいで擦り切れている
制服に着替えて、一階のリビングに行こうと自分の部屋のドアを開けた
「...........っ!?」
ましにはなったとはいえ起きてすぐに頭が働く人間はそういない
ドアを開けた先には見慣れた廊下と階段が見えるはずだった
目に映るのは見える限り地平線の彼方まで真っ白な銀世界
ぽけーとして混乱しながら部屋を出た
こんな事があって混乱しない人間などいないだろう
部屋に戻ろうと振り返るが部屋が無い
代わりに若い男性が椅子に座っていた
「だっ、誰だ!?」
男性に、焦るな..落ち着け..と心の中で呟きながらもう十分パニック状態の少年は聞いた
「やあ、おはよう、それとおめでとう
いきなりだけど異世界に転生してみないかい?」
「だから誰なんだ!?」
パニック状態の少年に男性の言葉は全く届いていない
男性が誰なのかより、もっと大事なこを言われたことを、聞こえてはいるが理解する余裕がない
「私は神だ、もう一度聞く異世界に転生しないか?」
「転...生?」
パニックを通り越して一周して冷静になった頭はやっと事の重大さを理解した
「魔法があって魔族とか亜人種、魔物などのいる世界」
「魔法...」
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