偽物の暗殺

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ゴルドラ王国、王都アヴェニア。 活気があり、賑わっている街並みを崋月(かげつ)は眺めながら歩いていた。 さっきの街並みとは大違いだ。 この隣街にあるアルマジェンダというまちは活気がなく、人影も見当たらない暗くて寂しい街だった。 唯一酒場にいた老爺に聞いてみると、最近あった戦争の影響で男は皆連れていかれ、農作ができず、食糧も底をつき、皆死んでしまいました。と、寂しそうに微笑むと消えてしまった。 きっと浮かばれないまま死んでいったんだろう。 それとは正反対のまるで別世界のような王都に殺意さえ沸いてくる。 「崋月、眉間にシワよってるよ?」と白銀の髪を持つ少女が言った。 「お前もいたんだったな」 「まーた忘れてる。考え事すると周りのこと見えなくなるんだから…」と呆れたように溜め息をつく。 彼女の名は鈴(すず)という。 本名はスザンナだが、鈴のように軽やかな声から、崋月が鈴と名付けた。 それ以来、崋月を姉のように慕っている。 「ごめん…」 「ごめんで済むとおもってるの?…まぁいいわ、いつものことだし。それで?何物騒な顔してたのよ?」 「そんなに物騒だったのか?」 「目で人殺せそうなくらいだったわね」 「…例のことだ」 「ああ、あれね。本気なの?」 「刺し違える覚悟は出来てる」 「多分、護衛とかいっぱいいるわよ?何せ王家の血筋を継ぐ公爵家ですもの。」
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