幼なじみ

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中庭を囲むようにした学校の造り。 2年の教室がある2階の渡り廊下を挟んで向かいに職員室がある。 登校してくる生徒も少し増えて、廊下では何人かの友達と朝の挨拶を交わした。 「そういえば今朝親が新聞見て言ってたんだけど、剣道部すごかったらしいじゃん?小山君は優勝だっけ?」 渡り廊下に入った辺りで、里花は周りに生徒がいないかを確認して、少しにやけながら私にそう話しかけてきた。 「あ~うん、そうだね」 「そっけないな~。顔にやけてるよ?」 「り、里花がにやけてるから!!つられて!!」 咄嗟に出た一言が逆にそれは嘘だと言っているようなものだと気づくのは、里花の顔がさっき以上ににやけていたから。 「全く~素直じゃないなぁ。好きな人が優勝したらそりゃ嬉しいって」 「ちょっ!!声大きいから!!」 里花のさらっと言った一言に動揺する私を見て、里花は続ける。 「好きな人が幼なじみで、しかもあんな長身でかっこよくて部活で優勝するなんて、京子も鼻が高いでしょっ!」 「だから大きいってば!!」 からかうようなその声の大きさは、別に特別大きいわけでもなく、渡り廊下に響き渡るわけでもなく。 ただ私が里花の隣にいるから。 「ほんと里花は可愛いねー」 くすくす隣から聞こえてくる笑い声に、私はまた里花にからかわれたことにようやく気づいた。
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