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「なにって……日直だからプリント取りにきたんだよ。朝言っただろ」
「あ……そうだっけ?」
まだ話している里花と先生をちらっと見て、寿のほうに駆け寄る。
「……アホ」
はぁとため息をついた寿は、私に聞こえるか聞こえないかの大きさでそう呟いた。
でもそんな気遣いのようなものは意味なく、その単語はハッキリ私の耳に入る。
「アホアホ言わないでよ!」
「一回しか言ってないけど」
「さっき学校来てるときも言ったじゃん!」
登校中に寿に言われたことを掘り返す。
さっきは気力が無くて無視したんだけれど。
「聞こえたのかよ」
そう言ってハッと笑う寿の顔は一瞬くしゃっとくずれ、またいつもような顔を私に向ける。
「当たり前じゃん。朝は無視してあげたのよ!」
「なんだそれ」
またくしゃっと一瞬見せたそれはさっきとは違い、私を見ながらのものだった。
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