幼なじみ

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「おーいそこの二人、職員室では静かになー」 寿と私の会話のちょうどいい間で、先生はそう言い放つ。 二人、というのが私たちということに気づくのは容易かった。 職員室で言い合う私たちは、周りを見渡すと明らかに浮いていたから。 「じゃあ先生、私たちプリントだけ持っていきますんで!!京子、行こ!」 そう言うと里花は、先生の机からプリントだけを取ってきて寿といた私に走って近寄り、私の左腕を掴んでそのまま走って職員室の出口に向かった。 「あ、うん!」 「おい、こら!」 先生のそんな言葉は、虚しくも職員室のドアを開ける音で掻き消された。 「と、寿!じゃあね!」 ドアを開けてもなお走り出す里花に私もつられて走り出す。 慌てて振り向くと、一人突っ立つ寿がぽかんとした顔でこちらを見ていて、私がそう言い終わる前にはもう見えなくなっていた。
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