幼なじみ

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渡り廊下の真ん中辺りまで走った里花と私は、里花が急に足を止めるから私も同じように足を止めた。 「京子、今のってもしかして1年の篠原寿君?」 「え、里花知ってるの?」 急に私の方に顔を向けたと思えば、一瞬名字がわからなかったけどその言い慣れた名前が里花の口から出たことに気付く。 「カッコいいって有名じゃん!新入生の中じゃ1、2を争うとか言われてるっぽいよ?」 「な、なにそれ。知らなかった……」 カッコいい? 有名? 1、2を争うほどの? 寿が? 小さいころから飽き足りるほど見てきた、あの寿が? アホアホ私を罵って、私を罵ることを生き甲斐にしてそうな、あの寿が? 「ちょっと京子、篠原君と知り合いなのって聞いてるんだけど!」 「あっ、ご、ごめ」 寿の意外すぎる周りからの反響らしきものに唖然とする私は、未だに掴まれている私の腕を更にギュッと掴む里花の行為でハッとした。
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