幼なじみ

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「じゃ、俺部室寄ってくから」 校門に着くと健ちゃんはそう言い、部室に向かった。 まだ少し時間が早いからか、校門の周りには数人の生徒しか見当たらない。 残された私と寿は、靴箱の方へ向かって歩いていく。 「……全く、お前の嘘には呆れるわ」 「なによ。嘘じゃないし」 少し距離のある校門から靴箱の間で、ワックスで少しいじった髪を触りながら寿がさっきのことを掘り返す。 「ほんとに里花は今日日直だし、手伝ってって言われてたんだから」 「ふうん……」 ……あんたから話掘り返しといて反応薄っ! 「ていうか、部屋覗かないでよね!!」 「俺の部屋の窓から見えるのが京の部屋の窓だけなんだから、しょうがないでしょ」 さも簡潔に言ったそれに言い返す言葉はなく。 隣同士の私と寿の家に、隣に向かい合うように私と寿の部屋があるのは事実で。 「……ま、今日その里花ちゃんが日直で良かったね?」 「な、なにが」 「別に~?」 作られたような笑顔を私に見せた寿は、スタスタと歩いていく。 「ちょ、待ってよ!」 できた距離を埋めるため、私は少し小走りをした。 さっきまでは同じ速さで歩いてたのに。 「ごめんね?足が長くて」 痛って!と声を上げた寿の横腹には私の右拳が決まっていた。
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