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『声』が聞こえた。
夢の中、というのとは何か違う。精神世界、ともどこか違う気がした。もっと、“中じゃなく、外から聞こえてくる感覚”だった。 男の声か女の声かもわからない。
しかし、聞いたことはない、聞き覚えはない、初めて聞いた『声』だった……ような。
「…………あれ?」
違和感があった。自分は今、なんで仰向けに青空を見上げているんだ? と。
プップー!! と愉快なクラクションの音が近くで鳴り響いた。
道路のド真ん中で仰向けに寝ている少年の耳に、音量MAX目覚まし時計の如く思い切り響き渡る。
バッ! と立ち上がり、すぐ横の歩道に駆け足で移った。状況を見ると自分はトラックに轢かれそうになっていて、かなり危険なシチュエーションだったらしい。運転手のおじさんがしかめっ面をしながら、不機嫌そうにトラックで走り去っていった。
少年は、ただただぼーっと立ち尽くす。
そしてぽつりと疑問を呟いた。
「……俺なんで気絶してたの?」
「知らん。いきなりフラッと目の前のヤツが揺れたと思ったらお前が道路に倒れた」
「あー……やっぱ車道歩くの程々にした方がいいかな。ていうか誰? 同じ制服だから先輩っすか?」
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