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突然背後から現れた人物。少年と同じ、心響(しんきょう)高校の制服を着た男子高校生だった。
一目見るだけで、それなりに高校生の平均より背が高いのがよくわかる。一八〇センチは軽く越えていた。まさにノッポというあだ名が相応しい体格だ。髪型は丸刈りで、どこかの武将みたいな縦に長い顎髭がやけに目立っている。
彼は少年の発言に呆れたような表情を浮かべながら、
「お前、俺と同じ一年生だろう」
「え、そうなの?」
「この時間帯にこの方向を歩いてる学生は大体心響高校の新一年生だ。少し考えればわかる」
「確かに、そうだな」
言われて納得する。在校生と新入生の登校時間は入学式などの関係から分けられているので、今歩いているという事は新入生を意味しているのだ。
ここから、オッサン染みた同じ新一年生の同級生と共に少年は学校に向かう事になった。成り行きだった。
ふと少年の顔を見て気になったようで、オッサン同級生は何気なく聞いてくる。
「お前の名前を教えてくれ。俺は倉前鉄次(くらまえ・てつじ)だ」
ああ、と少年は自己紹介を今更思い出して、面倒臭そうに自分の名前を言った。
「枕輝(まくら・かがやき)」
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