序章 【声】

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 枕、倉前の二人は無事に心響高校の校舎に着き、そこでバラバラに『じゃ』と別れた。トラブル(さっきのあれはトラブルか?)も起きてないのに無事にもクソもないが。  HRが終わり、入学式が終わり、始業式が終わった。この高校は同じ日に二つの式をいっぺんに終わらす主義らしい。少年、枕輝には坦々とした作業にしか見えていない。興味が薄い。のか? いまいち本人にも自分の心境がわからなかった。  高校生になったら性格変えてやる! という感じで自分はこんな雰囲気になっているのかな、と枕は新任の先生の話を聞き流しながら適当に考える。別に中学の頃は根暗だった訳ではないのだが、何故かテンションが下がってきていた。  最後の先生の話、的なものが終わり、慣れない先生も慣れない同級生もいなくなった教室で、枕は一人机に突っ伏していた。
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