序章 【声】

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「なんだか……変だなあ、今日の俺」  すっかりオレンジ色に染まった教室に、枕の声がポツリと響く。  朝から変だった。突然意識が遠ざかり、車道のど真ん中で仰向けに寝てたり……。 「あれ、それだけか。あれ?」  んー? と悩む枕だったが途中でやめた。自分でもおかしな程にクールになってた事に気付いてなかった。  そこに、 「えっと、枕くん、だっけ」  教室のドアの方から女子の声が聞こえた。同じクラスの、見覚えのある人物だ。 「そう……だけど。そろそろ教室出た方がいいかな?」 「いやいや、そうじゃなくてさ」  ? と枕は首を傾げる。何か悪い事をしてしまったのか少々不安になるが予想は違ったようだった。 「ほら、私一人違う地方からこの高校に来たって自己紹介で言ったじゃん。だから、その、挨拶にね」
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