序章 【声】

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 黒髪短髪に、右側の前髪を縛るヒーロー物のマフラーみたいな、横になびく赤い布が特徴的な女子だった。確か……白…白木さん? と枕は適当に考えるが、クラスメイトの自己紹介など全く聞いていなかった事を思い出す。みんなボソボソ話してて聞こえずらかったというのもあるかもしれない。 「じゃあ! 改めて自己紹介するね! 白傘咸(しらがさ・みな)。特撮好きの女子高生だぜ!」 「ああ、うん。俺は枕輝な。よろしく」  白傘咸。自己紹介での彼女の様子を枕はやっと思い出してきた。確か。  結構引かれていたはずだ。  元気すぎる。というか、『正義』とか『悪』とか連呼してたような印象があった。特撮好きならなおさらだ。さらに『だぜ!』などというキャラ付けがあれば更に。  白傘咸は客観的に見て、いわゆる痛い子だったのだ。
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