序章 【声】

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 突然の枕の発言に、少々白傘の目が薄くなる。 「壊れてる……って、まさか、聴覚が?」 「そう。昔、交通事故で」 「そう、なんだ。でも今の医療技術だったら治りそうじゃない?」 「治さないって決めてる。絶対」 「……まあ、追及しないけどさ」  枕はだから聞こえなくてゴメン、という事だった。白傘は大して動揺しない感じで、 「いいよ別に! これからもよろしくね! そしてじゃね!」 「ありがとな白傘さん。また明日ね」 「…………枕くんは『正義』のカテゴリーかな……」 「?」 「うん、じゃ」  白傘はやや急ぐ感じで教室を出たのであった。これで薄暗くなってきた教室には枕一人になった。 「……そろそろ帰るかな、俺も」  枕はイスから立ち上がり、カバンを持って廊下に足を踏み出す。  と、  ザザザザザザザザザザザザ。 「……ん?」
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