序章 【声】

9/9
前へ
/245ページ
次へ
 音。何かを引きずる音? 木の葉が揺れる音? どちらも違う。周りには何も引きずっている物は無いし、今は春だから桜が綺麗に舞っている事だろう。そして何より枕には。  “朝に聞いたことがあり、それがどちらの耳から聞こえたか”疑問だった。  ザザッ! ザザザザ……ザッ! ジジッ…ジジッジザザザザザザザザザザザザザッ!!!! と。 「う、ぐっ!?」  枕の意識が、飛びかける。  ノイズ。雑音。  どこから聞こえてるかわからない。溢れてくる恐怖、驚き、異常な頭痛に耐えきれない。思わず廊下の床に倒れ込み、頭を抑え叫ぶ。 「うがああああああああああああああああッッッ!?!?」 《『再生』してあげる、『あなた』を》  そしてまた、聞こえた。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加