5822人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
意外なことに、ミヤまでが不愉快そうに眉根を寄せました。
「あのさ、稲ちゃんはあの現場にいなかったから、そんなに軽そうに言えるんだよ。
私達は、物凄いものを見ちゃったんだから。
これは、いつものからかいじゃなく、真剣な話なんだよ!」
その時、車のクラクションが聞こえてきました。
「おーい! 」
皆で一斉に振り向くと、ガタガタと白いバンが止まり、運転席の窓を下げて、神田の小父さんが顔を覗かせています。
「お父さん!
どっか行ってきたの?
丁度、良かった!
乗せてって」
ミヤがドアに手を掛けると、小父さんは顔の前で軽く手を振りました。
「それどころじゃないよ。
お前は先に帰って、わしはこれから駐在さんとこに行かなくちゃならないから、母さんにそう伝えてくれ。
また町が騒がしくなるかもしれんぞ! 」
最初のコメントを投稿しよう!