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クラスに馴染もうとしない私に、数日もすると誰も興味を持たなくなりました。
今までの私なら、親にねだって皆と同じ真っ赤な色のランドセルを買ってもらっていたことでしょう。
でも、その時の私は、子供心にも、もう親におねだりしてはいけないんだと自分に言い聞かせていたのです。
結局、小学校を卒業するまで、公立では男の子色だった黒のランドセルで通い続けました。
翌日から私の服装は、アイボリー(実際には白ではありませんでした)のワンピースだけは着ていかなくなり、目立たないようなブラウスやTシャツにスカートという周りの姿に合わせたものになっていきます。
転校して一週間もした頃、誰とも親しくなれなかった私は、休み時間も一人で過ごすのが当たり前になっていました。
自分から仲間に入りたいとも思えませんでしたし、本に夢中になっている振りをしていたのです。
本当は……孤独でした。
そんな中、もう一人私と同じように孤独なクラスメイトがいることに気が付きました。
白くも蒼くも表現できる顔には長いまつげと赤い唇。
長くて重い黒髪……
伏し目がちで暗い印象の女の子が、いつも窓際の一番後ろの席で外をぼんやりと見ていました。
それが……京子でした。
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